今津の海岸より1キロメートル沖に、津村島があり、津村神社を祭る。津村明神をを祀る(まつる)から津村島と言われる。
むかし、この島に住んでいた津村明神はみめうるわしき女神で、付近に散財する島に住む、男の神々に恋い慕われ、人ならぬ神の社会にも、(※1)恋の鞘当てがおこなわれた。
なかでも、苅田沖の弓の名人神島神と、大積の太刀の達人、蕪島神がもっとも熱心で、いわゆる恋敵であった。
両島の神は、互いに譲らなかったためついに真剣勝負して、勝った方が津村明神の夫になろうと相談が決まった。
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さて、決闘は開始された。神島神の放った第一矢は、蕪島神の胴体を突き抜け、白野江に突き当たり(今の白野江小学校裏にある穴は、その時にほげた穴という)その時吹っ飛んだ岩は、野江谷にある矢形岩であると言われている。
一方、これと同時に蕪島神の振りかぶった太刀で、神島を二太刀まで切りつけた。
それで、今の神島は中にくぼみが二つあり、振りかぶった太刀が余り長いので、その太刀の先が、今の太刀浦に当たった、それで地名を太刀の浦という。
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それはともかく、荒れ狂った二神の決闘で、天地は鳴動し、諸神恐れおののくうち、これではならじと、みかねた朽網沖の島神と猿喰の島神が仲裁に入った。
ところが「若者のくせになまいきだ、ひっこめ」と言い、頭の毛をむしりとられ、片一方は裸にされ、すごすご退いた。それで、朽網沖の島を毛無島と言い、猿喰のほうを、裸島と呼ぶようになった。
次に曽根沖の馬島神は「このままにしていては、世界が滅びてしまう」と心配し、両島神の(※2)仲裁をかって出たが、恋に狂った両神は、「この老いぼれの知ったことか」と相手にしなかった。それでこの島は、爺島とも呼ばれるようになった。
だが結局、老練な爺島のはからいで、神ノ島神へは、自分のかわいい娘をやってなだめ、蕪島の神には、望みの津村島神を(※3)めあわせ、めでたしめでたしのハッヒーエンドになったという。
また、津村の女神が産んだというのが、津村小島(今は陸続きになっている)であるという。なお、猿喰の裸島も今は、陸続きになっている。
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おしまい。
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