視界が悪く、危険な消防の現場を変えるため、AR（拡張現実）ゴーグルを搭載したヘルメット「C-Thru」を開発したのが米「Qwake Tech」だ。
　消防士は赤外線カメラやセンサーを搭載した特製のヘルメットを装着する。
　煙でまったく見通せない火災現場でも、ARゴーグルに投影された建物内の様子から、救出するべき人の位置や燃えている場所が把握できる。

　C-Thruは最前線の消防士だけではなく、建物外にいる司令官にとっても有用だ。
　ヘルメットに搭載されたカメラの映像をリアルタイムに確認し、その状況を把握できるからだ。

　C-Thruでは、消防士が火災現場内で道に迷っても、位置追跡の仕組みを使ってリアルタイムに退路を示すことができる。
　C-Thruのヘルメットがセンサーの役割を果たし、刻々と変わる周囲の状況を分析し、消防士が正しい行動をとれるように誘導する。

　火災現場では、爆発的な延焼を引き起こす「フラッシュオーバー」などが発生する危険性があり、人間がその複雑な現象を予測することは難しい。
　炎や気流の流れ、熱の変化によって、AIが消防士に的確な指示を出すことができれば、安全性を向上できる。